慶應義塾大学推理小説同好会さんが発行した『Casebook メフィスト賞全レビュー』は文学フリマ当日に同サークルの方からいただきました。どうもありがとうございます。この作品はタイトル通り講談社メフィスト賞受賞作を全てレビューした労作であり、まずメフィスト賞を網羅したという精根がすごいです。私自身メフィスト賞制覇については既に幾度も挫折を経験した身ですが、この作品を読むとやはりもう一度挑戦してみたくなりますね。それと読んで驚いたのがこのレビュー書き手の多さです。詳しく集計してませんがざっと見ても20名以上の人が執筆しており、これだけ多くの人が携わった作品というのも大学サークルでは珍しいのではないでしょうか。執筆陣の厚さは内容にもしっかり反映しており、受賞作のみならず、その作家のほかの作品に言及されていたり、考察が行われていたりと受賞作ごとに様々な情報が取り入れられていますし、書き手によっては個性的な文章で批評する人もいるので、ただ読むだけでもおもしろいです。メフィスト賞は未読の作品も多々あったのですが、ネタバレなどにも留意しており、ありがたい作品紹介になっています。割と書き手の感想も素直に書かれており、作品によってはつまらない、とばっさり斬っている作品もありましたが、玉石金剛と言われているメフィスト賞の内実をよく表したレビューだと思いました。