今回読んだ作品はサークルman/chickenさんの発行する『F_O_A_F_#01』はミステリーとは趣を異にした怪談風の掌編集です。タイトルのFOAF(フォアフ)とはFriend Of A Friend(友達の友達)の略だそうで、噂話、怪談におなじみの「友達の友達が体験したんだけど」という前置きを意味するそうです。このタイトルが表すように、『F_O_A_F_#01』には都市伝説のようなホラー風味の作品もあれば、ぞっとするような内容でもないのに名状しがたい不安な気分にさせられる作品もありました。収録されている作品は『ネタ出品』、『親切』、『サイキックバトル』、『蚊』、『夕暮れの人影』、『人身事故』、『イノシシ』の7本。どれも2〜3ページ程度の掌編なので簡単な内容を紹介しただけでネタバレになってしまいますが、個人的に面白かったのは、『サイキックバトル』と『夕暮れの人影』でしょうか。どちらもはっきりとした真相のような部分が語られておらず、怖いというよりも、なんというか、思わず周囲に誰もいないか確認したくなるような、そんな不安を覚える作品です。怪談本などに類出する都市伝説は大抵が語り慣れてしまっていて、起承転結のような物語の枠組みがはっきりしたものが多い気がしますが、逆にこういった物語未満の「話」(と著者の方は冒頭で述べています)というのも怪談として成立するのですね。