『清龍第八号』 サークル:清龍友之会

常連と言いますか老舗と言いますか、文学フリマで何度も見かけたことのあるサークルさんには内容は言うに及ばず、装丁まで凝っている作品が多々あります。その中でもこの清龍友之会さんが発行する『清龍』は別格でしょう。『清龍』の書影は清龍友之会さんのHPに掲載されていますが、見てわかるようにどれも同人ならではのパロディが詰まっており、ミステリファンなら思わず手にとってしまう装丁になっています。さて、そんな『清龍』の最新号『清龍第八号』ですが、ポプラ社から発行された江戸川乱歩『電人Q』のパロディになっています。会場に置いてあった『電人Q』と見比べましたが、本当にそっくりでした。こんな技術と遊び心を持っている作品は読んでいて本当に楽しいです。
 内容もさすがにカタログで本格推理を掲げているだけあって、全体を通して上手い、面白い作品が載っています。「紋章学研究会の失恋」は6号に掲載されていた「紋章学研究会の狂騒」の続編で、チョコレートを巡る謎への論理合戦が楽しめます。また今号はミステリー以外にもSF、ホラーとラインナップも豊富でした。更に恒例となったテーマ競作、今回は自転車ということでしたが、短時間でオチまでしっかり書ききるところがすごい。特に作品では、自転車のひょうきんな語り口とオチのうまさがマッチしている「自転車が恋を語る話」が面白かったです。